アフターファイブガバメント

《アフターファイブガバメント》は、国立市の富士見台
第三団地に面する元市場「富士見台ストアー」の一部を
改修し「庁舎」として拠点化しながら展開していきます。

Google map(東京都国立市富士見台3-8-13)

《アフターファイブガバメント》は、夕暮れ時に現れて「もう
ひとつの社会」へと私たちを誘う「役所」をつくるアートプロ
ジェクトです。本プロジェクトは「くにたちアートビエンナー
レ2015」
における地域交流プログラムとして展開していきます。

活動期間中、国立市の富士見台地区にある元市場を「庁舎」に
変え、子どもから大人までのさまざまなメンバーが「職員」と
なって、「議会」で想像を膨らませながら、プロジェクトを進
めていきます。真夏の8月には、地域のそこかしこに仕掛けら
れた「暮らし」が、国立の夕暮れ風景をささやかに変貌させる
でしょう。「職員」として「暮らし」づくりから参加するもよ
し、ひとときの「住民」として夕暮れを巡る旅に出るもよし。
行く先は誰にも分かりません。
《アフターファイブガバメント》は、昼と夜の狭間に許される
「ひらかれた公共実験」です。


活動期間:2015年4月〜8月

場所:富士見台ストアー(東京都国立市富士見台3-8-13)
   および国立市内各所

監修:北澤潤
制作:佐々木慶子
設計協力:佐藤李青
空間デザイン:能作淳平建築設計事務所
メディアデザイン:ささき製作所
グラフィックデザイン:濱祐斗デザイン事務所

主催:公益財団法人くにたち文化・スポーツ振興財団
共催:国立市、国立市教育委員会

お問い合わせ|くにたちアートビエンナーレ事務局
mail: info@kunitachibiennale.jp
tel:042-574-1512





前文

アフターファイブガバメントは、
2015 年に日本の東京都国立市で開催する
「くにたちアートビエンナーレ 2015」を契機に幕を開けた、
アートプロジェクトである。
本憲章は、このプロジェクトが実現していく過程で
立ち返る原点であるとともに、
その時々で改訂しつづけていくべきものである。



1「アフターファイブ」の概念



1-1 これまで

「アフターファイブ」という言葉の意味について、
辞書には次の様に書いてある。

午後5時以降。仕事が終わったあとの個人的な時間。
(「広辞苑」[第6版]、岩波書店、2008 )

ここでの「ファイブ」は、
仕事とプライベートの境界線を意味している。
朝早くから会社に行き、午後5時の終業時間を越えると、
仕事を忘れて少々ハメを外す。
この「アフターファイブ観」は、
はたらき方の多様化とともに変化しているだろう。
すでに、若者たちの「ビフォア」と「アフター」の境界線は
ゆらぎつつある。


1-2 これから

新たな「アフターファイブ観」。
それは、仕事とプライベートの対比ではなく
「いつもの社会」と「もうひとつの社会」を
対比させることから生まれる。
私たちの「いつも」を規定しているルールのタガを外し、
日常の境界線の引き方を変えてみる。
ありえたかもしれない「社会」を、不思議な暮らしを、
一瞬夢見させる夕暮れ。
「もうひとつの社会」の実験タイム。
それが、これからのアフターファイブ。



2 アフターファイブガバメントの基本



2-1 しごと

アフターファイブガバメントは、
わたしたちの町のいつもの役所が閉まる頃に現れる。
そこでの「職員」の仕事は、いわゆる役所の仕事ではない。
家の中、公園、病院、レストラン、保育園...。
それぞれの場所や人、自分の「ビフォアファイブ」を見つめ直し、
「アフターファイブな暮らし」を自由に実験すること。
それがここでの「しごと」となる。


2-2 部署

○○部、△△課、□□係...。
「もうひとつの社会」を営むための部署を創造する。
各部署では、「アフターファイブな暮らし」をつくり、
そんな暮らしを紹介する窓口業務を担ったりする。
ひとりで「係」をつくったって構わない。


2-3 職員と住民

子どもから大人まで誰もが「職員」になることができる。
「職員」は、アフターファイブガバメントの「庁舎」を
かたちづくるメンバーであり、「暮らし」を創作し、
サービスする提供者でもある。
「住民登録」をすれば、
夕暮れの町の「住民」になることができる。
「アフターファイブな暮らし」のサービスを受けたり、
「議会」に参加したり、
「住民」としての関わり方はさまざま。
「職員」や「住民」にならなくても、いい。


2-4 議会

各「部署」の「職員」や、「住民」が集いあう
「アフターファイブガバメント議会」をひらく。
それぞれの考える「暮らし」について意見を交わし、
時にアフターファイブガバメント自体についても語り合う、
緩やかな議会。


2-5 庁舎

アフターファイブガバメントの「庁舎」は、
一時的であれ必要なものとする。
使われなくなった公共施設、廃校、スーパー...。
「ビフォアファイブ」に佇む空間とそのストーリーから
「庁舎」をつくるのが望ましい。


2-6 開庁時間

主に夕の刻。黄昏時の2〜3時間。
発想によって、多少の前後、長短も許される。
時が来れば、この「役所」の灯りは消える。
また、いつかのアフターファイブに現れる。



2015年4月1日 発効